【歴史的な発見】
そのマンモスは2010年にロシア連邦サハ共和国で見つかりました。
YUKA(ユカ)と名付けられたこのマンモスは約四百万年〜一万年前に北アメリカ大陸やシベリアに生息していたとされているケナガマンモスの雌で約6歳程度であることがわかりました。
(ちなみに、現代私たちが見ることのできるゾウ、たとえばアジアゾウやアフリカゾウはこのマンモスと類縁の関係にありますが、直接の先祖ではないそうです。)
研究チームはYUKAの化石の脚部から筋肉組織を採取し、その筋肉の細胞から核を取り出しました。
核の中には遺伝情報、つまり命の設計図とも言えるDNAが保存されていました。
研究チームが取り出したYUKAの細胞核をマウスの卵子に移植したところ、なんと!YUKAの細胞核は細胞分裂をする直前の状態まで変化したのです。
細胞核はマウスの卵子の中のタンパク質を利用することによって変化したようです。
さらに驚くべきことに、核は変化するだけではなくその一部はマウスの卵子の細胞に取り込まれたそうです。
変化したということはつまり、細胞核内の遺伝情報が完全な状態で保存されていたと推測されます。
しかしそのまま順調に細胞分裂が進むかと思いきや、細胞分裂をする直前の状態まで変化したのちにYUKAの細胞核は死滅してしまいました。
なぜ細胞核は死滅してしまったのでしょうか? 細胞分裂の直前の状態まで変化すればその後も細胞分裂は起こりそうなのにと、私は不思議に思いました。
研究チームはこの原因について、マンモスの化石がシベリアでの過酷な環境に長期間曝されたことにより細胞核内の遺伝情報に損傷や欠損が生じてしまったこと考えられると説明しています。
つまり今回実験に用いた筋細胞核内の遺伝情報は完全な状態ではなく、損傷していたために細胞核が死滅してしまったということです。
【まだ希望が!】
細胞分裂こそ起こりませんでしたが、マンモスの細胞核は細胞分裂が起こるその直前の状態まで変化したのです。
結果的に遺伝子の損傷により細胞分裂には至りませんでしたがその直前まで変化が起こったということは、マウスの卵子が損傷したマンモスの細胞核を修復したという可能性を示唆しています。
保存状態がよく、損傷が軽微な細胞核を同様の実験に用いれば細胞分裂まで進み、マンモスに育つ受精卵になる可能性もあるのです。
現代にマンモスが蘇る可能性があると考えるととても興味深いですね!
さて、次回はマンモスと歯の再生医療の問題についてお話したいと思います。
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